セミの数だけ空蝉があるはずだが。
それほど頻繁に目にすることがないようだ。目にすれば、おっ! 珍しい、と思うほどの
貴重なものに思える。しかしよーく考えてみれば、枝で大騒ぎしている蝉の数だけは、どこ
かにその抜殻が無くては計算に合わない。たぶん草場の陰あたりにきっとあるのだろう。
それとも、セミは声がデカいし人の思惑などお構いなしに鳴き立てるので、そこら中の木
の枝がセミだらけ、と思ってしまうが、案外数は少ないのかもしれない。とにもかくにも大
騒ぎするから、ドえらく大勢が群がっているように思うだけなのだろうか?
しかしセミはどうして、殻を脱ぐ、というようなシチ面倒くさく、かつ危ういことをする
のだろう。詳しいことはまるで知らないが、昆虫というものは皆、こんな面倒くさいことを
しながら生きているのだろうか。そういえば蟹なんかも脱皮するなあ。
彼らは脱皮した後、少年少女時代とは似てもにつかぬ、蝶やトンボなど、優美な姿に一変
する。まるで化かされたようなものだ。こんな複雑な、面倒な手続きを踏まないと生きてい
けない、というのも難儀なことだなあ。我々のように少しづつ大きく成ればいいのに。
かくのごとく、生き物は不可思議の塊。だいたいが、この地球に生命の種が生じた、とい
うことが根本的に不思議だ。その種がウジャムジャ何かがどうしてこうなって、それが何十億
年という、うんざりするほどの年月を経過して、こうなっているらしい。
まあそこまで行くと、なにがなんだかよく分からん話になってしまうけれど、地球という
乗り物が、神様に選ばれた(神様がいるとして)、珍しい星なのかなあ、と神様の方に下駄を
預けるより仕方がないように思う。今日もセミが鳴いている。
抜け殻がとんでもなく膨らんでしまった。
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