ムラサキシキブの実はきれいだと思う。
花もきれいらしいけれど、なにしろ小さい、それだからあまり目立たない。それゆえに、し
げしげと見たことがない、が、10月ともなれば、きれいな紫色に染まった実が、オラオラ、と
葉っぱの表に顔を出し、大いなる自己主張を展開してくる。
この木(落葉低木であるらしい)は、山道などではあまり見かけないが、家の近く、民家
のあるところでしばしば見かける。見かければどうしたって、まあ一枚、とそそくさと撮影し
にかかる。もう何回も写したんだから、よせばいいのにと思いながら、また映す。
なんと言っても紫の色合いが深沈と沈んでいるようで、それでいて陽ざしに浮き上がっ
てくるようで、まあなんとも言えない色だ。見ようによっては、小さな小さな宝石のようで
あり、アメシストの輝きさえ感じられるほど。(アメジストを実際に見たことないけど・・・)
紫色は、仄聞するところ、古代のやんごとなき御方に限ったものだという。だからエライ
と思うのではなく、色そのものがきれいなのだ。名前がまた、ムラサキシキブなんていう古
代王朝の女性の名と同じだから、イヤ増してやんごとなさを醸し出しているかも。
これに限った話ではないが、自然が作った形や色合いは、どう人間が頑張ってみても追
っつかない。だからこそ、花を愛で、宝石に憧れるのだろうけれど、月にロケットは飛ばせ
ても、自然が創ったものを何一つ創れないのだから、あんまり威張れたものじゃない。
それだから、まあなるべく謙虚にしていたいと思う。しかしあんまり謙虚正直イッテバリ
だと、金儲けサギの餌食されないとも限らない。謙虚であってしかも油断なく。これはこれ
でなかなか難しい難儀な業だ。この世に生きてい行くのは、これで案外難しい。