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2025/11/28

ただ歩く小春の浜を何処までも



 

 東海のどこかの浜辺だった。


 この季節とは思えないほどの温かい小春日和で、あまりにも気持ちがいいから、ざくざ

くと小石の浜をあてどなく歩いた。まどろむような静かな波が岸辺に寄せている。足元は

富士の溶岩が波で砕かれてできたかに見える、砂ではなく黒っぽい小石である。


 空はどこまでも晴れているし、海の水は澄んで遥かな沖まで青い。遠くの岬の山影がべ

ったりと青く染まって海に溶け込んでいる。なぜだかわからないが、たまたま富士の秀麗

な裾野は霞んでいて見えなかった。けれどこの浜全体が春のように温かい。



 こんなにアッケラカンとして明るい冬の日もあるのだなあ、と感心してしまった。どこを見

ても暗く陰鬱な影は、その染みほども見当たらない。どこもみな粒のような陽光が煌め

き、悠々閑々、落ち着き払っている。こんなことがあっていいものなんだろうか。


 かと思えば、毎日吹雪に吹きまくられる冬もある。空は暗い暑い雲にがっしりと蓋をさ

れ、毎日まいにち雪や雨が降る。もう要らない、と言っても聞いてはくれない。暗くて寒く

て、こころ浮き立つようなことは、まったくどこにも転がっていない。



 日本列島は実にさまざま変化に飛び過ぎている。けれど住んでいるところが、まあまあ

平均的なところだろう、と自動的に思いながら生活している。だからこういう東海の浜辺

のようなところへ、たまたま行くとその違いが深く認識されるのだろう。


 しかしながら、日本国中どこ構わず住む、というわけにはいかないし、またどこ構わず旅

をする、などという事も出来ない。狭い一か所に閉じ込められている身とあってみれば、

出来るのはせいぜい妄想を膨らませるぐらいのところ。仕方ないよなあ。




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