毎日、どしゃ~っと夕立に来てもらいたい。
そうして、ありとあらゆるものを、びしゃびしゃに濡らして、さっと引き上げて
もらいたい。葉っぱも地面も濡れそぼった後、かそけき風が吹いて、得も言われぬ
涼しさが身を包むであろう。第一にこのくそ暑い中で植木に水をやらなくて済む。
夕立が来そうな気配は毎夕あるのだが、どうももう一つ決断がつかないらしく、
空振りに終わっている。遠慮する必要はない、ドンガラカッタと来てもらい大雨を
降らせてもらっていい。その代わり長居は無用、さっさとどこかに行ってくれ。
天気予報は随分精密で確実性が高くなったが、夕立がどこに、いつ降るのかまで
は正確には分からないらしい。予報官は「雨マークが無くてもにわか雨」なんて一
つの逃げを打っているが、俄かに降るんだから予報なんて難しいに決まっている。
にわか雨=夕立なんて言わずに、「気まぐれ雨」という名にすれば、予報官の苦
し紛れもだいぶ緩和されるであろう。予報を受け取るこっちも、気まぐれなんだか
らあてにしても、あてにしなくても、どっちだっていいや、と開き直れる。
朝に夕立に会ったことがある。野っぱらを歩いている9~10時ころ、急に空が夜
のように暗くなって、向こうの山は真っ黒い雲に覆われて見えなくなった。風がさ
ぁ~~っと吹いて来て、田んぼの稲がざわめきだした。風の道が見えた。
雨だ!! と思っているうちにインゲン豆ほどの雨粒がぼたぼたと落ちてきた。
運よく近くに無人駅があったので逃げ込んだとたん、ばしゃ~~と本降り、駅前や
道路にたちまち水があふれ、何もかもぐっしょりと濡れそぼってしまった。
20分ほどで朝の夕立ちはどこかに行ってしまったが、野っぱらを一日歩いたその
夕方、山の中で今度は本物の、正式な、由緒正しい夕立が来た。朝の夕立がここま
で追っかけてきたのかどうか知らないが、今度は雨具でしのぐしか手がなかった。
とにもかくも、夕立に期待す。