雪が降ると辺りいちめん真っ白くなって見分けがつかない。
田んぼも畑も、凸凹がなくなってどこが何やら、さっぱり分からなくなる。そんな真っ白な
原野がずう~っと向こうまで広々と続いて、いつもは歩けないそんな野の広がりを歩いて
みたくなる。だがもちろん、そんなところを無暗に歩いては叱られる。
初雪だとそんな光景も、なにやら初々しく珍しく目に映り、山も野も川もみ~んな雪にき
らきら輝いてとても美しく見える。「雪見」などと言えば、雪国の人は目をむきそうだが、め
ったに雪が降らない地方では、美しいものを見に行く、という感覚になっている。
しかしそれも、初雪がそのまま根雪にならないから、そんな呑気が言っていられる。たち
まち根雪になって、来年の春まで、永があ~い期間、もう地面が見えないとなれば話が違
う。雪の顔など見たってうんざりするだけだし、邪魔っけだし、いいことは一つもない。
そういう極端な気候の違いが、この日本列島には厳然として存在する。列島の日本海側
と太平洋側。前者は雪、後者は晴れ、截然と線を引いたように分かれる。それが冬中ずっ
とだからたまったものじゃない。日本海側の人だけが大損をこいていることになる。
その代わりと言っては申し訳ない次第だが、春が来たときの喜びは、太平洋側の比では
ない。頭上を低く覆っていた暗雲が次第に消えて、陽光がいつもと違うきらめきを見せ、
吹く風がなにやら温く感じられる。春が来たのだ! 待ちに待った春だ‼
こうなったっ日にゃ、もう一気に春が展開する。梅が咲き同時に桜が膨らみ、山の雪がな
くなって、ブナの初々しい緑が陽の光にはしゃぐように照り輝き、濡れた山肌に蕗の薹、節
分草、片栗の花が咲き誇り、日いちにちと温かさが増してきて、初夏の陽気となる。
どっちに住むのがいいのかナア!