山里の柿の実が目に付くようになった。
しかし柿の実は至って地味で謙虚な果物だ。南の国の果物のように、派手っぱしさがど
こにもないし、その味だって、甘いんだか酸っぱいんだか、どうもはっきりしない。さらにそ
の上、鼻っ柱を誘惑するべき馨わしさなんてどこを探しても見つからない。
どっちかと言えば、やはり南国のみっちりと甘い、爽やかに甘酸っぱい、蠱惑的な香り
芬々の果物に引き付けられてしまうのだが、イヤ、待てしばし! このほのかな甘さ、ほの
かな香り、これにどうも惹きつけられる、ということはないだろうか。”ほのか”、がいい。
柿の学名は、Diospyros kaki だそうだ。学名に威風堂々、日本名の「カキ」がつけら
れている。これはもう日本人としては大いに威張っていいのではあるまいか。ひょっとして
柿は日本原産か? と思ったが、ネットによれば東アジア一帯が原産地であるらしい。
ともあれ日本人にはいたって身近な果物なのだ。だからか、裸になった枝に柿の実がぽ
つりぽつりの眺めが心安らぐし、また秋が深まった頃、農家の大きな屋根庇に、干し柿が
連珠のように連なって柔らかな夕日に染まっている風景は、いたく郷愁を誘う。
しかしながら日本の柿はたいていが渋柿であるのが残念だ。実が大きいのはほぼ渋柿
であるようだが、そこでご先祖様はさまざまに工夫を凝らし、どんな手段を使っても甘くし
てみせる、とばかりに、ああすればどうだ、こうすればどうかと励んだらしい。
まず湯がく・・・少し渋が抜けるらしい。次は霧吹きで焼酎を吹かけ密閉する・・・ウソみた
いな甘柿に変身。皮をむいて天日に干す・・・甘さ上品実はとろとろ。などがあるようだ。な
んと言っても激変するのは干し柿、清雅で上品な甘さ、とろけるような実、ああ!
峠こえ寺でもらった柿を食う
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