背中の目立たないところに密かに隠れていたらしい。
いつの間にっくっ付いたのかわからないが、気が付いたら黒い影は真っ赤な大口を開け
て、人を頭からガリガリ齧っていた。気が付いた時はもう、喉が震え上がるほど痛かった。
水も飲めない、つばさえ飲めない、もちろん飯を食うなんぞ考えも出来ぬ。
何事が起きているのかさっぱりわからないが、これはもう尋常ならざるところ、一晩苦し
み倒してから医者に行ったら、「コロナだね」「へ? 11月にインフレやったばっかし⁉」・・・
なにもひとりの人間を、そんなに集中して虐めんでもええやないかあ、ええかげんにしろ。
前回のインフルは、なにしろ呼吸が苦しく、息も絶え絶え、あまつさえ肺炎も併発して、や
たら妄想が湧くわ、眠れないわ、死ぬような思いをしたが、今回はのどの痛みである。やっ
ぱり小さな妄想がわらわら湧いてきて眠れない、喉痛い。やっぱり死ぬ思いがする。
どっちもその渦中では死ぬような思いをするが、しかしこうして苦しさの峠を越えてみれ
ば、”死ぬ思い”はちと大げさだったかな、と反省する。と共に、どうも近頃体力が急劇に落
ちているのではないかとも思う。落ち込んだところをコロナやインフルにしてやられる。
この手の病気にかかると、回復まで4,5日、完全に寝込まなければならなくなった。さて
寝込んで夢から覚めるように世間を眺めれば、桜は咲いて満開になり、若葉はわらわら
芽吹いて日毎にぐんぐん伸び伸びと大きくなっているらしい。いつの間に観が強い。
さてこれで、コロナ、インフルの2大ケタクソ悪しを体験したのだから、もうこの上はずう
~っとこの二つを無用にしてもらいたい。苦しまずとも好いのに苦しむ無駄、寝床に張り
突く時間の無駄、これを一掃して、爽やかな春の空の下を駆け巡らせたまえ。