2025/10/01

十月や野道の夢を追いかける

 



 さあ十月、やっとこさ涼しくなった。


 こうなると、野っぱら道を無暗に歩きたくなって、どこそこのどのあたりの道がよかったと

か、あの道を何処までも行ったらどこへ行くんだべ、などと脳みその薄暗い片隅から、な

けなしの朧な記憶が浮かんでくる。でも、どこか歩いたことがない道を歩きたい。


 登り坂は親の仇、忌み嫌うこと蛇の如し。なにしろ坂道をほいほい歩ける体力がない、

根性もない、楽しくない。なんにもないから、やっぱり平らな道がいい。こうなるとなにやら

野っぱら道を探すのが大変である。道は無限に転がっているというのになあ。



 地図を見て野っぱら道を探す。まずは等高線を見て、山道だったら即座に脚下、ほぼほ

ぼ平ら、という道を探すが、それはおおむね平野にある。平野にはだいたい街がある。街

中は歩きたくない、うんざりする。こうなれば、おいそれと道は見つからない。


 どこだっていいじゃないか、行き当たりばったり、勝手気ままに行っちまえ! という手が

ないことはないが、それだと駅まで行って、はて、どっち方面の電車に乗ればよかっぺ

か⁇ と出鼻ッから躓き、スッ転んでしまう。それでは一日中駅の中で動けない。



 まあ、それはそれとして、また昔のように、どこか電車の線を一本選び、その沿線をぶら

ぶらしてみようかと思う。なにしろ線路は放射状に四通八達、一時間も乗れば都内のごち

ゃごちゃを抜け出て、空が高くなって、田舎道を歩けるはずだ。


 そこにはアッと驚く為五郎のような、花や紅葉の名所はもちろんないけれど、だれも歩い

ていない、清閑な、昔ながらの田んぼ道が、づう~っと先の方まで伸びているだろう。そこ

を、ぽつらぽつらと彷徨うように、あてどないように、歩ければそれでいい。


 我が帰し道もそんなもんだった。




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