山道にひっそりと咲く合歓の花は、不思議な花だ。
花とは到底思えない、細い刷毛のように見える。その上、その花の色合いが頼り
なさげで、あえかで、そのくせとても優美なのだ。この花を見かけるのは、そうそ
う多いことではないと自分では感じている。まるで深窓の令嬢のように。
合歓の花を見てこのような感懐を抱くのは、ひょっとして芭蕉の句の影響が大き
いのかもしれない。「象潟や雨に西施が合歓の花」。そぼ降る雨、あえかな美人西
施、そのイメージをどっと合歓の花に乗っけてしまう。実に巧みなもんだ!
合歓の木が変わっているのは、花ばかりではない。葉っぱが夜になると眠るとい
う。動物が眠るのは当たり前だが、植物が夜になると眠ちゃう、というのはあまり
聞いたことがない。やはりこの木はどこか変わっている。
ヒトも動物もみんな眠るんだから、植物が寝てはならぬ、という法律はないけれ
ど、ほかの植物はそんなことをしないのだから、一応、周りに同調してもよいでは
ないかと思う。眠らねばならない何か特別な理由があるのだろうか。
それで、即ち今、ネットに聞いてみた。この現象を「就眠運動」というそうだ
が、マメ科の植物にこの運動をするのが多いらしい。その仕組みは、生物時計によ
って日周を感知し、細胞内の何たらイオンがどうとかして・・・とまあ難しい。
偉い学者さんがこのメカニズムを解明したらしいけれど、では、なぜマメ科の植
物はこういうことをするのか、この仕組みはその植物にどういう利点をもたらすの
か。そこのところはまだ解明されていないらしい。ここが肝心だよナ。
それでも、合歓の花は控えめで美しい。
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