数あるユリの中では山百合が一番いい。
なんといってもあの強烈な香りに圧倒される。あの香りが鼻孔を通過するとき、
なにやら酔ったようにくらくらする。またあの大ぶりな、堂々とした、王様を思わ
せる花がいい。押しも引きもされない風情で立っている。
この近くだと、奥多摩の多摩川渕でよく見かける。どういうわけか知らないけれ
ど、平らな道っぱたには咲いてなくて、崖っぷちの危うい場に咲いていることが多
い。そう簡単には近寄れないから、毎年楽しめる。
山百合の花が一番いいから、球根を送ってもらって、家の隙間に植えてみた。一
年目はなんとか花をつけたものの、二年目はもうよれよれになってしまった。三年
目でとうとう芽さえ出さなくなってしまった。やんぬるかな。
環境が変わったので生育が難しいのか、育て方がまるでデタラメだったのか。な
にしろ球根を隙間に埋めただけで、ほったらかしたので何が悪いのか分からない。
それに引き換え、花屋から買ってきた鉄砲ユリに似た花は、毎年元気だ。
ユリの根っこは食用にするという。なんと言うことをするのだ、と思う。こんな
綺麗な花のおおもとをムシャムシャ食ってしまうなんて、野蛮人と言わなければな
らない。まあ、飢饉やなにかだったら止むを得ないかもしれないが。
そうでなく、旅館の夕飯にこれが出てきたりする。きれいな花を犠牲にしても食
うのだから、どれほどの美味かと思うが、しゃりしゃりした歯ざわりだけで、とん
でもないような旨味は見当たらない。これを食うのはやはり罰当たりだ。
ヒトというのはほんとになんでも食うなア。
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