御岳神社の裏のあたりに小さな谷間が開いている。
ロックガーデンなどと、こじゃれた呼び名がつけられているようだが、行ってみたら岩や
石ころがごろごろしていて、緩やかなU字の渓が展開していた。ちょうど秋が深まる時期だ
ったので、周りの雑木がモミジの赤はないけれど、黄や茶に色づいて明るい。
素朴なベンチとテーブルが設えてあり、若者たちがコーヒーのいい香りを振りまいてい
る。森の中のカフェがそこここに開店営業中である。爺さんの年代はキャンプや登山は日
常から離れることだと思い込んでいるが、今の若者は日常を無理やりでも持ち込んでくる
らしい。
夏に茂り放題だった雑木の葉の半分ほどがすでに散って、隙間があいて日が差し込み、
葉っぱの緑が黄や茶に変わって、樹幹は大変明るい。明るい谷間に明るい人たちが集ま
って来て、笑いさざめき、まるでビルの中の明るいカフェの如くである。
谷間の場所によっては、わずかなモミジを加えて、赤、黄色、茶色、そして緑、それぞれ
の枝が横ざまに広がって、この4色の霞が棚引いているように見える。別段モミジの名所
でなくても、その時期にジャストであれば、どこでもそれなりにモミジは美しいと知った。
この辺りがこんな按配になってくると、もう冬は近い。あとは雑木の葉は散る一方であり
たちまち裸の枝が空に突き刺さり、山肌はくすんだ灰色に塗り込められる。そうして1か
月、2か月、忍の一字で待っていると、空が明るくなって裸の木の枝に霞のようなものが
纏いつく。
こうしてまた、季節の繰り返しが始まるのだが、この繰り返しは何べん経験しても、もう
飽きたから要らない! という事がない。何回だろうと何べんだろうとOKである。何べん
繰り返そうと、その度に新鮮であり、その度に愛おしい。だから飽きるというこはない。
神の定めに反してそう思う。
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