日脚が少しだけ伸びた西の空は、茜色に染まっている。
冬の空は夕焼けになる。どうしてなのか、その理由は分からないけれど、それが美しいナ
と思って、ベランダで長い時間ぼうお~っと見ている。しかしこの時期はエラク寒い風が
吹いたりするので、西の空をぼうお~っとするのも、これでなかなか容易ではない。
その茜色に染まった美しい空にす~っと飛行雲が棚引いて、これも一緒に茜色に染まっ
ている。あの雲を作った飛行機には、西洋なのか東南アジアなのか知らないけれど、優雅
な旅行の人がいっぱい乗っているに違いない、といつも羨ましく思う。
一時期、日本がまだ元気いっぱいだったころ、日本人がどっと雪崩を打って西洋や東南
アジアに出かけたが、その波に乗れず、ただ指をくわえて眺めるだけに終わった。やんぬ
るかな、以来どこへも行けず、狭い日本で狭まっ苦しく生きて来たのは残念である。
その当時は海外への怒涛のような観光に、西洋人が飽きれ顔になり、東南アジアでは買
春ツアーとかで顰蹙をかい、日本人の悪口が地球を覆ったかのように記憶している。今、
4千万人もの人たちが日本に観光に来るという。世は逆さまとなりにけり、である。
逆さまになったのは、簡単に言えば日本がビンボーになったからだと、安易に納得してい
るが、外国からの観光客の、声高なはしゃぎよう、どこ構わずの忘若無人さ、これらを(テ
レビなどで)見るにつけ、あの当時の日本人に対する外国人の目つきが理解できる。
個人的には、観光客などあまり来ない静謐な島国であってほしいけれど、そんなことで
は飯の食い上げだぁ、となるならば止むを得ない、まだ元気だったころの悪の所業を思い
出してじっとそれに耐え、遊びに行くなら名所旧跡を外して、隅っこで我慢する。
”これはしたり、世は逆さまとなりにけり、乗りたる人より、馬が丸顔”
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