当地方ではときおり南岸低気圧が通り抜ける。
この低気圧は、おおむね冷たい雨や、場合によっては雪というものを持ってくる。その間
寒さに震えながら、身を縮めて低気圧が通り過ぎるのを待つ。これが通り過ぎると、なん
でか空がウソのように晴れて、下手すると気温が上昇する場合がある。
身に感じるのは、「三寒四温」という言葉がぴったりくるように思う。2,3日寒さを我慢す
ると、その後にご褒美のように、温かい日がしばらく続く。現象としては、あたかも春の雨
が一雨ごとに春の気配を運んでくるようだ。そうして気付かないうちに春になっている。
雨というのはおおむね面白くない現象だけれど、春雨に限り、場合によっては許しても
いいように思う。それは粉のように細かい雨脚で、ちっとも寒くなくて、かつ明るい雨の場
合は、面白くはないにしろ、許してやってもいい。降るのを許可する。
あとの雨はほとんど許容できない。ことに五月雨。びしゃびしゃといつまでも降り続け
て、こころの中まで黴臭くなる。近頃はそれに加えて、梅雨の一気降り、という現象もあ
る。あろうことか、五月雨らしくもなく夏の雷雨のようにドカッと降るからたまらない。
夏の夕立は、周りの気温を低下させる、そのことだけに意味がある。目もくらむような降
り方をしたあとは、案外さっぱりと矛を収め、なにごともなかったようにセミが再び騒ぎ出
す。このまま夕方に突入すれば、もしかして今夜は涼し気に寝ることができるかナ。
しとしと降り続く秋雨もまた決して面白からず。だいたい降るんだか止むんだか一向に
はっきりしないところがもどかしい。冬の時雨とくればもう論外に厭わしい。冷たくて寒く
て、ヒトにとって、ちっともいいことはなさそうである。出来れば降るのを止してほしい。
春夏秋冬、いい雨というのはないものだなあ。