植物は一か所に根を張るはずだ。
が、しかし何ごとにも例外あり、根無し草というものがある。いや、これにも根
はある。2ミリほどの小さな根で、これでもって田んぼに根を下ろそうとは夢にも
考えていないらしい。だから水の流れ次第、流れ流れてどこへ行くか知れない。
今頃の時期、田んぼにこの草がゴマンと漂っている。彼らはどこへ行ってどう生
きるのか全く計画性がないから、とにかく大繁殖し、数で何とかしようと思ってい
るに違いない。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる、そのものだ。
というように、彼らの計画性の無さを、せせら笑う資格はないように思われてき
た。暮夜、密かに考えるところ、遠い田舎から出て以来、まるで根無し草のように
東京近辺でふらふらと住んできた。安く住めるところならどこでもよかった。
職業こそ、なんとか食えるだけの安給料にしがみついてきたものの、住むところ
は点々移り変わって、定住する気がまったくなかったように思う。だんだん年を取
って来て、やむなく原住地に居を定めはしたが、別にここである必要はなにもな
い。相変わらず安く住めるならどこだっていいのである。
この計画性のなさ、意志の欠如について、言い訳にもならない言い訳を考え
る。・・・元来、サピエンスという生き物は、遠くアフリカを出て以来、休むこと
なく絶えることなく、移動に移動を重ねてきた。
それはまるで根無し草のような浮動であり、行く先にあても目的も計画性もな
く、ただ闇雲に先へ先へと歩き続けた。これはもしかしてひょっとすると、サピエ
スに運命づけられた宿命ではないだろうか。どうもそんな気がする。
我もまたサピエンスの端くれ、十分説明がつく。
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