丹後は天橋立に立ち寄る。
この景色を、どこぞかの山に登って股ぐらから眺めるか、あるいはこの砂州をてくてく歩いて、向こうの浜まで行ってみるか、ちょっと迷ったけれど、どちらも脚下、砂州の始まりのところの砂をわずかに踏んでみただけになった。
その辺りに文殊堂という、意外と大きなお寺があったのでちょっと立ち寄り、それから波打ち際に出てみた。浪が次から次へと打ち寄せ、それが崩れて白い泡を吐き出すさまは、見ていて飽きなかった。秋の浪はしかしどこか寂し気だ。
沖あいは深い藍色となって、その上に丹後半島がのびのびと連なっている。これからゆく伊根はどのあたりだろうか、大変楽しみでもあり、こころ急かれる思いもする。なにしろ夕方が近い、伊根までどれほどかかるか、見当がつかない。
日本の三大風景とか言われる天橋立は、股ぐら覗きもなんか子供じみているし、この砂州を向こうまで歩いてみるのも何だかなあ、という気がする。そうであれば、もうどこを見学すればいいのやら、途方に暮れてしまう。
遥か遠く出雲へ向かう道すがら、金沢からこっちは特に未踏の地である。どこを走っても、どこに立寄っても、どこもまた嬉しい。特に侘し気な海岸縁の道などは、背中がぞくぞくするほど引込まれる。北陸山陰はおおむねそのようだ。
華々しくそして賑やかで、なにもかもごちゃ混ぜの太平洋岸に比べれば、静謐で落ち着いて、そして優し気な海や山や街が続いている。おそらく人もまたそうなのであろう、願わくば、これからもそのまま続いてほしいと願うばかりだ。
秋の海日本海は波静か。
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