三面川は新潟県村上市を流れている。
村上市は越後の北のどん詰まり、山形県境に近い小さな城下町、市内の小高い丘をエ
ッチラオッチラ登っていくと、草むす城址がある。そこから眺め下ろせば、こじんまりした街
なみが広がっているが、高い建物はなく、低い家並みが連なっているばかり。
一度訪問して、その静かで控えめな佇まいにすっかり魅せられた。市の北側に三面川が
流れそこに「イヨボヤ会館」という鮭の博物館がある。地下へ降りていくと、なんとまあ、三
面川の川波が、アクリル板の向こうに見えていて、季節になるとサケの遡上が見られる。
街の中をぶらぶら散歩した。しもた屋が並ぶ角に「きっかわ」という店がある。入ると狭
い店先に鮭の製品がいろいろ並んでいたが、その奥の土間に一歩踏み込んで腰を抜か
すほど驚いた。巨大な鮭が無慮何百本というほどぶらさがっている。
中には、鼻曲がりの巨大な口をクワっとあけ、もう光りを宿さない大きな目をまじまじ見
開いて、こっちを睨み据えている。そんな恨めしそうな顔を、ちょうどこっちの眼の高さにし
てずらずら並んでいる。一瞬タジタジとなってよろめき、恨むなよ、と呟いた。
三面川に遡上してきた鮭を捕らえて、背から腹からたっぷりみっちり塩を擦り込んで、冬
の冷たい、しびれるような寒風に晒して、乾燥させるのだそうだ。それをさらに土間に逆さ
吊りしてカラカラにし、その切り身を酒びたしなどの製品に仕上げる、ということだった。
せっかくここまで来たから、三面川に沿って走り登ってみた。すぐに山あいの道になっ
て、行き交う車は見当たらない。およそ20㎞も走ったところでダムに突き当たったが、そこ
に緑の芝生が美しい広場がある。奥三面の縄文遺跡公園だという。
芝生の隅にストーンサークルのレプリカが、秋の柔らかな日差しの中に鎮まっている。博
物館のような建物に入って土器などを眺め、遠い昔、ここで生活していた人のことを思っ
たりして過ごした。太古のとき、美しく星が輝く三面川を、鮭がここまでのぼっただろうか。
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