八高線、児玉駅を出て野っぱらの方へ歩いてゆく。
このあたりは関東平野の北西の端っこではあるが、広闊な畑がどお~んと広がってい
る。畑には様々な野菜が見え、その先に民家が林に埋もれるようにちらほらしている。地
面は平らで遮るものがなく、遥か北に榛名や赤城の山が群青の影となって聳えている。
普段は息が詰まるような狭い、みみっちい、鼻がぶっつかるような住宅地に住んでいる
ので、こういう景色に出会うと、なにやら自分がどんどん膨らんで大きくなって、天下を取
ったように思えてくる。歩いていると胸が広がって、深々と深呼吸してみる。
やがて神流川に突き当たり、渡る橋はいくつもないので地図をよく見ながら、その一つ
の橋を歩く。車がみんなこの橋に集まってくるのだが、渡り終えれば藤岡の家並に入る。こ
こで膨らんでいた気分がちょっと萎む。街中はなんといっても野っぱらほど面白くはない。
黙々として、疲れて、街並みを抜けると、新幹線の長大な橋脚が高い天の下に飛び込ん
できた。大蛇のようにうねりながら遥かな先に続いている。これが東京からはるばる田ん
ぼを突っ切り、畑を貫いて延々と続いているのかと思うと頭が思考を停止した。
高崎市の郊外に入って、平野はなお茫洋と広がっていたが、近くに博物館がありそこで
時間を大いに取られて、短い秋の日は既に陰り始めた。高崎駅までの距離を測ってみた
ら、まだ8㎞ぐらい残っている。さあ、大変だ、陽のあるうちにたどり着けるだろうか?
もう冗談ではない、ヘラヘラしてはいられない。道を見失わないように小さな川に沿って
歩く、歩く、ひたすら歩く。陽がとっぷりと暮れて、足が痛い、疲れた、民家の灯りが寂し
い、そんなことにもう構ってはいられない。・・・高崎駅の明かりのなつかしさ。
帰りの八高線は途中、鹿とがっぷり組み合って1時間動かず(泣き! )。
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