2025/11/18

小春日にインフルエンザの床を上げ

 



 いやはや、この半月がすっぽりとどこかへ消えてしまった。


 ように感じたインフルエンザの日々だった。まさか自分が罹患する、などと考えもしなか

った。なにしろ丈夫一式の体だし、流行り病にそそのかされほど神経がこまやかではな

いし、あくまで原始的にあくまで粗雑にできているはずなのだから、と思っていた。


 高熱は出なかったけれど、呼吸がやたらに苦しい。寝ていると眼前にスマホ画面が現

れ、真ん中が丸く白っぽい棒杭のようなものが浮かんできて、それはどうや喉と気管支で

あって、棒杭のようななものをもっと広げて息の通をよくしろと訴えてくるらしかった。



 それが一例で、スマホ画面は次から次、現れては何事かを訴え、命令し、指示する。どう

も本人はスマホ画面をちょこっと何かすると、この苦しみから逃れられるのだと思い込ん

でいあるらしい。現実は虚空の中で目を瞑っているだけで、スマホ画面など見ちゃあいな

いのだが、それがわらわらと立ち現れ、スマホ画面の夢想、幻想が止まらない。


 ここの於いて幻想と現実が逆転した。苦しさの中で脳に浮かんだスマホ画面は、我が幻

想のなせる業、だが当人にっとっちゃあ、まったくの現実である。画面をちょこっとなんとす

れば苦しさから逃れられる、と思い込んで揺るがないのだから・・・



 スマホ画面の方が幻想なのだ、と言い聞かせてやっとこの幻想が減ってきた。しかし息

苦しさはちっとも減らない。別な医者に行ったら「肺炎よ! 」と言われ、なんだか段々と

大ごとになってゆきそうな気がする。またまた馬に食わせるほどの薬をもらった。そうして

ここへきて、ようやく回復の兆し、ああ! どこかへぶん投げてしまった半月の日々。


 でもまあ、永久にぶん投げっぱなしにならずによかったかも。



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