いつかなにかで見た映像だけど・・・
寺の門が重々しく開き、墨染めの姿に網代傘の僧がぞろぞろ出てきた。雨が降ってい
る。骨を凍らせるような冷たい雨、しぐれ。そんなものを一向に気に掛けるふうもなく、僧
たちはわらじの足を冷たい雨の中に運んでゆく。寒くてイヤにならないんだろうか。
そうして山を下りて街に入り、びしゃびしゃしぐれる中、一軒一軒の戸口に佇んでなにや
ら読経をしながらひたすら待つ。やがてオバさんが現れてなにやらを僧が持つ袋に入れ
てくれる。僧は軽く一礼して、なにごともなかったかのような顔で次へ廻ってゆく。
北陸山陰を旅行したとき、おおむね晴れの日が続いたが、ときおり晴れていると思った
のにいきなり霧のような雨になってしまう、ということがよくあった。これはしぐれではなく、
秋雨の類だったかもしれないが、ほんとに北国日和定めなきだなあ、と思った。
砺波平野の散居集落を眺めようと、丘に登ったとたんにこの霧のような雨が降り、せっ
かく楽しみにしていた眺めが、まるっきり霧雨にけぶってしまいワヤであったし、足立美術
館の風景にイタク感激して駐車場に戻ってみたら、同じように霧雨が降っていた。
かの地方では、いまごろ秋雨ではなく、本格的なしぐれ空になってしまったのではなかろ
うかと思う。これはもう秋雨のようなヤワなものじゃなくて、雪の前兆の、しっかりした一人
前の氷雨、骨の髄まで沁みとおって凍らせる、ほんとにイヤな奴なんだろう。
そして間もなく、空に分厚い黒雲が被さり、ちらほらと冷たく白いものが落ちてきて、何
もかもを鬱陶しく閉じ込める毎日が、うんざり、がっかりするほど続くのではないのか。ち
ょっとだけ、この時期のかの地を見てみたいと思うが、なにしろ寒いだろうなァ。
こんな根性じゃ、ダミだこりゃ。
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