日本酒はおおむねこの寒い時期に作られるようだ。
これを「寒造り」と言うらしく、この言葉は、いかにも深々(しんしん)とした蔵で熟成した、
という感じがする。「暑気造り」などと言う言葉(いかにもダラケきった酒ができそうだ)、は聞
いたことがないから、日本中の酒蔵では、この寒い時期に懸命に酒を造るのだろう。
実際の酒造りの現場など目にする機会がないが、テレビなどで見る限り、なんだかやた
らに湯気がもうもうとし、米を蒸したり麹を振りかけたりしている。そのあと水と一緒に大
樽に入れ、しんしんと寒気が満ちる蔵の中でゆったりと熟成するらしい。
と、こんな風に書けばいとも簡単なようだが、実際にはこの酒造りは杜氏という専門家
が担うもので、その一つ一つの工程に微妙極まりない心づかいが潜んでいるようである。
これは不立文字、マニュアルを作れば即ち日本酒ができる、というものではないらしい。
おそらくこの辺りに日本酒の曰く言い難い秘密があり、外国では作るのが難しいのでは
ないかと思う。カリフォルニア米は日本のコメと遜色ない味だというが、カリフォルニア・ワ
インは旨いけれど、カリフォルニア・日本酒は聞いたことがない。
あまり全国的でない銘柄、生産量が少なく地元だけで消費されている、つまり地酒、こ
れが滅法やたらに旨いと聞く。この正月に岩手の「朝開」という銘柄を、友達にもらったの
で呑んでみたが、その何かの花のような香り、さらりとした飲み口…言うことなしだった。
決して呑み助ではなく、利き酒などもできないボンクラでも、これくらいの違いは分か
る。だから偶~に地方へなど行けば、決まって夜は居酒屋を訪れる。「地酒の辛口」などと
言えば、奥の方から静々と、まああまり聞いたことがない地酒が出てきて、大変うまい。
今年の目標・・・酒は程ほど。
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