多摩川の支流の岸辺で見つけた。
奇妙なとんがり帽子でなんだかわからない。近寄ってみたら、下の方に正月飾りみたい
なものがいろいろぶら下がっている。ひょっとしてもしかすると、これはどんど焼きではあ
るまいか、と思った。まさか、東京でもどんど焼きを行うとはユメ思っていなかったのだ。
これは雪深い田舎の正月行事であって、しかもとっくに廃れたのだろうと思い込んでい
たので、一見なんだかわからなかったが、どんど焼きとくれば懐かしい。わが故郷では雪
一面の田んぼの中に、藁束を立てかけてやっぱり円錐形に作ってあった。
学校の帰りにこれを見つけると、あのどんど焼きに火がつけられる夜になるのを待ちどう
しく思った。短い冬の日が早々と暮れるころ、餅やら団子やらをポケットいっぱいに詰込
んで寒さの中、どんど焼きの場所へ駆けつける。おお、いま火がつけられたばかりだ。
めらめら燃え上がる火を眺める。なにやら悪ガキどもも寡黙になってただ火を見つめ
る。しばらく放心状態でいて、ガバッと正気に戻り、ポケットの餅を取り出し、棒に刺して
日に炙る。ところがどっこい、表面だけが煙に焦げて中は生ん坊、食えたものじゃない。
大都会のど真ん中では、最早こんな行事は消え去っただろうけれど、大都会の端っこの
田舎にはまだ残っていたことが、とても嬉しい。15日の小正月の夕べには、やっぱりあの
遠い日と同じように、子供当たちが嬉々として集まって来るんだろうか、と思いを馳せる。
人々の暮らしの中の伝統行事や慣習は、おおむね500年で入れ替えられる、という話
を聞いたことがある。鎌倉、室町、江戸、そこらあたりの伝統は今無くなりつつあるのかも
しれない。茶道、華道、、、さまざまな行事、みな消えてゆく運命にあるのだろうか⁉
そういえば、お墓さえ今は危うい。
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