2026/02/18

雪解けや里すがすがし白川郷

 



 雪解けのころ白川郷を訪れた。


 この日は春らしい温かさで、雪がしんしんと降り積もる合掌造りのイメージがあまり湧か

なかったけれど、浅い春の空気はどこかピンと張りつめていた。集落の向こうの端の方か

ら、細い小道を歩くと、合掌造りの大屋根はどれもたくましく、堂々としている。


 家々の脇や田んぼにまだ雪の塊が残っていて、それだけ見るといかにも寒々しい感じ

だが、もう春の気温になっている。道端や畔にもわずかながら青みがさして、ともすれば

一斉にすごい力で芽吹くべく待機している。小高い丘に登って集落を見下ろした。



 周りを囲む山肌には、まだ深そうな雪が見えた。山は依然として冬だが、一足先がけて

里に春が来たのかもしれない。そういえば、里中には地元の人の姿は少ないが、それでも

家の前で二、三人が井戸端会議中で、その誰もが明るい表情を見せている。


 小高い丘から降りて。帰り道は別なルートを歩く。くしくも屋根の吹き替えをしている

家があった。片側はもう先に済んでいるらしく、別な片面に巨大な梯子を渡して、5,6人

の職人さんが手際よく作業している。案外に少人数だったので意外に思った。



 雪解けの白川郷にそれなりに感動したが、帰りの道々思った。観光地はそのもっとも見

ごたえのある時期に訪れなければならないのではないか。ここの白川郷であれば、やはり

冬真っただ中の、合掌屋根にしんしんと雪降り積もるを見るべきであり、雪解けなどと言

う半端な時期では、その地の魅力が十分わからないのではないだろうか。


 しかし、それはふと思い立ってできることではない。無慮1年も前から宿を予約し、電車

やバスも予約し、そうして大ごとのように出かけねば、その見ごたえある景色は見られな

いことになっている。それはもう、無精者にとっては思うだに大ごとであり、とても無理だ。


 観光地、遠くに有りて思うもの。




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