2025/07/28

日盛りにしばしまどろむ大樹かげ

                



 日盛りに土手道を歩いて往生した。


 朝から阿武隈川の土手を歩いていたが、昼になっても土手道が終わらず、仕方なくそのまま

歩き続けたら、ひっくり返りそうなほど暑くなった。なにしろ日陰がないむき出しの堤防だ

ったから、たまらない。汗ドバドバ、喉カラカラ、喉から手が出るほど水が欲しい。


 転がるようにして人家があるところに逃げ込み、大木の影でひっくり返った。幸い近くに

自販機があり、水を浴びるほど飲んだ。そして傍のきれいな小川の水で体を拭き、しばらく

のあいだ木陰の影の下でまどろんだ。それでようやく人として蘇った。



 もう木陰のない土手道を歩く気は全くなく、本宮という街の街道を歩いた。街道も陽ざし

があったけれど、松並木が程よい日陰となって、熱気が頭に上るほどのことはなかった。そ

うして夕方、二本松に到着した。やれやれ今晩はここに泊まろうと思ったのだけれど・・・

 

 駅近くに旅館は二軒あったのだが、南無さん! 両方とも泊めてくれない。ヨレヨレの乞

食坊主みたいな恰好だからか無残にも断られ、途方に暮れたが、何しろここに及んで野宿な

どとてもできない。その一軒に三拝して頼み込み、ようやくなんとか泊ることが出来た。



 まだ今より若かったので、どうやら熱中症一歩手前で生還できたのだろうと思う。今の年

齢だったら、救急搬送間違いなし、もし他人がいなかったらそのまま一丁アガリ、となって

いたかもしれない。それを思うとどうしても日盛りに歩くのは躊躇する。


 もしやむを得ず歩くのであれば、慎重に木陰のある場所を選び、危なそうだ、と思ったら

風の通る木陰に避難して、ゆるゆるとまどろむ、ということをあらかじめ予定しなければな

らない。木陰のない土手道など、もってのほかだと思っている。


 なにごとも経験しないと分からない。




2025/07/27

青空を焦がして燃えてさるすべり

             





 さるすべりは実に長い期間咲いている。


 たしか6月下旬ごろから、ちらほら咲きだし暑さ増すにつれ、いよいよ元気に咲き続けて

る。が、じつは一つの花は、咲いたらその日に萎んでしまうのだそうだ。で、次々に後を

って開花するので、花の期間に終わりがないように感じるらしい


 この赤い花が、地獄の沙汰もこれほどか、というような炎暑の昼下がりに、知らん顔して

咲いている。これが目に入ると、他の木々がぐったり疲れているのに、独り平気なのでいさ

さか小憎らしいけれど、同時にエライもんだと感心もする。




 ところで6月から咲き始めて、それでいつ花は終わるのだろう? 昔の記憶では8月に咲

だして延々9月までだったのだが、これに倣って6月から8月まで、つまり昔の咲き初め

ころには、早々と店じまいをしてしまうのだろうか。


 いろんな木や草の花が、アチチ、のためにみんな前倒しになっているようにも見受けられ

る。それと気付かぬうちに、季節そのものが前倒しに推移しているのかもしれないと大いに

疑っている。季節が前倒しなら、9月にはやたら涼しい秋風が吹くのか⁇




 ついぞ経験しなかった極暑のため、いろんなものが狂ってきた。なんとまあ、北海道で

40℃、なんていうから驚き為五郎も口がふさがらない。こんな按配だと農業はもちろん、

業にも何らかの異変が生じて、サンマなんかもう決して獲れない、ってことになるのか?


 そういえば、ここ3,4年、まともなサンマをまともに食った記憶がない。スーパーをのぞ

と、少年のようにカワイラシイのがちょこんと置いてある。丸々太った、なんてのは夢の

た夢、サンマが食えなければ日本人ビンボー階層の名が廃る。困ったもんである。


 トランプとオンダンカは親の仇でござる。




2025/07/26

白蓮にしばし涼まん昼の池



             


 蓮は花だけは美しい。


 葉っぱは傍若無人にデカイばかりだし、種ときたら、なにやら目玉の集合のようで、いさ

さか不気味だ。ところが花はなによりも美しい。花びらの根元が白っぽくて、先っぽへ行く

ほどだんだんに薄紅色となり先端が赤く、花びらの中に紅色の筋が浮いて見える。


 この様子がなによりきれいだなと思うけれど、乳白色の薄い黄みを帯びた白い花は、なに

よりも涼し気だ。白い大きな花は、バラでもボタンでも爽やかで涼し気に見えるものだが、

蓮の白はまたひときわ爽やかに見え、池の水気と相まって思わず汗を拭いたりしてしまう。



 今はなんといっても、涼し気、涼しい、爽やかが一番いい。なぜかと言えば、ひょいっと

予報を覗いてみれば、35℃以上が踵を接して並び、ひょっとすると、37℃、38℃などという

殺人的な日もあって、これじゃあ、なんでもいいから「涼」というものが欲しい


 朝の10時ともなればもう部屋の温度は33℃、たまらずにカーテンを閉め、クーラーをひね

って籠城の一手、暑いのに、食うものは食うし、やることがないからごろ寝ばかりだし、腹

ばかり出る。これじゃ、体にいいわきゃないよ、分かっているけどやめられない。




 これから毎年こういう按排が続くとすれば、これは何かテを考えねばならないのではない

か、夏になるとただただクーラー籠城だけでは困ったもんである。しかしテといってもな

あ、どういうテがある? 金があれば横っ飛びに涼しい場所に逃げるのだがなあ。


 金がないので仕方がない、なにがなんでも35℃以上の気温に、こっちの体を適応させるし

かない、人間は環境に適応するものだという。現に赤道あたりのマサイの人は、熱中症だ、

などと無暗に騒がない。ならば、38℃ものともせずに動き回るか~⁇


 死ぬ前に、それでいいのか考えよう。




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