日盛りに土手道を歩いて往生した。
朝から阿武隈川の土手を歩いていたが、昼になっても土手道が終わらず、仕方なくそのまま
歩き続けたら、ひっくり返りそうなほど暑くなった。なにしろ日陰がないむき出しの堤防だ
ったから、たまらない。汗ドバドバ、喉カラカラ、喉から手が出るほど水が欲しい。
転がるようにして人家があるところに逃げ込み、大木の影でひっくり返った。幸い近くに
自販機があり、水を浴びるほど飲んだ。そして傍のきれいな小川の水で体を拭き、しばらく
のあいだ木陰の影の下でまどろんだ。それでようやく人として蘇った。
もう木陰のない土手道を歩く気は全くなく、本宮という街の街道を歩いた。街道も陽ざし
があったけれど、松並木が程よい日陰となって、熱気が頭に上るほどのことはなかった。そ
うして夕方、二本松に到着した。やれやれ今晩はここに泊まろうと思ったのだけれど・・・
駅近くに旅館は二軒あったのだが、南無さん! 両方とも泊めてくれない。ヨレヨレの乞
食坊主みたいな恰好だからか無残にも断られ、途方に暮れたが、何しろここに及んで野宿な
どとてもできない。その一軒に三拝して頼み込み、ようやくなんとか泊ることが出来た。
まだ今より若かったので、どうやら熱中症一歩手前で生還できたのだろうと思う。今の年
齢だったら、救急搬送間違いなし、もし他人がいなかったらそのまま一丁アガリ、となって
いたかもしれない。それを思うとどうしても日盛りに歩くのは躊躇する。
もしやむを得ず歩くのであれば、慎重に木陰のある場所を選び、危なそうだ、と思ったら
風の通る木陰に避難して、ゆるゆるとまどろむ、ということをあらかじめ予定しなければな
らない。木陰のない土手道など、もってのほかだと思っている。
なにごとも経験しないと分からない。
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